オペラ金色夜叉、無事終了いたしました。
パブリックシアターで公演する時は、いつも、あっという間に終ってしまいます。
東京でのこんにゃく座主催で総動員数は2000人。・・・全国での旅公演の総動員数は凄いのに、世の中うまくいかないものです。ふふふ。
まだまだ知られていないんだなあ・・・。
まあ、それはともかく、今回の本番は、まあ、忙しかった。
とにかく、着物の早替えを何回も何回も・・・。
台本にある役としては箕輪の妻と宮の母だけなのだけれど、元さんの台本と萩京子の作曲は群衆シーンが大切。
自分で勝手に群衆の中でどういう役でいるかを設定して歌う。
必然的に衣装も変わる・・・。
岡原の変化をご報告いたしましょう。
序・カルタ会の主催者、箕輪の妻の役、色留袖に黒い羽織。
3場、熱海梅園・宮の母の役、茶縮緬の着物、紺の羽織。
5場、新橋ステーション・少しぼけたおばあさんの役、大島紡ぎの着物に紫のショール。駅見物に来てお弁当を食べている所をおまわりさんに注意される。家の手伝いの娘が探しに来る。
7場、田鶴見子爵邸・女中役、あねさんかぶりに、たすきにエプロン、大島紡ぎの着物。茶色の足袋に下駄。植木屋の職人にお茶を出しながら、田鶴見子爵の噂話をする。
植木屋の職人は鍋さん、これは宮の父と母役の我々がやっているのが洒落である。
9場、夜の道・小料理屋の女将、大島紡ぎに紫のショール、着物はステーションのおばあさんと一緒なのだが、こちらは腰を曲げずにしゃっきり動くので別役として
いる。あっ、かんざしをつけている。お客様には見えないと思うが・・・(笑)
提灯を持ってお客様を送っているのだが、そのお客様は富山役のうるおさん。
もちろん、違う役のつもり・・・。
10場、富山家・宮の母役、またまた茶縮緬の着物に今度はくろい大きな柄の羽織を着る。宮が富山の家に嫁いだので母の羽織も豪華になっている・・・(笑)
このシーンが終ったら、赤樫満枝役の早替えの手伝い。
満枝役ののぶぶは13場の炎上では行商の女役でその後すぐに満枝役ででないといけないので、着物を重ね着している。稽古中から二人でこういう風に着ておけば要領がいいなど、色々相談した。
13場、炎上・お稽古帰りのお嬢さんの役、からし色のコートにからし色のリボン。コートの下は宮の母と同じ着物であるが、決してこれは宮の母ではないのだ!
14場、師走の路上・バイオリニストの先生役。先程と同じ格好だが、バイオリンを持っているから確実にバイオリニスト!ピアニストの伴奏者の萩千尋と一緒に夜の音楽会に向っている(千尋も楽譜を持っているから明らかにピアニスト!笑)途中で新聞記者のいっくんと出会い、挨拶し、最後におまわりさんのさとおちゃんに道を聞く。この芝居の台詞ではない師走の路上の様子を歌いながらこの芝居をする。これが、金色夜叉の合唱の醍醐味。
16場、間貫一宅・湯屋に行く女の役。宮の母の着物の上に紫の道行きコートをきて、手拭いを持っている。
「金庫ひとつ」「高利貸しをばむさぼり営む〜〜〜」と、通りすぎながら歌うだけ。
これが終ると楽屋まで戻って、ひろかが老婆役から娘役に戻っているのを手伝う。
髪の毛を結って、帯をしめて。
そして、最大に緊張する懐中電灯のシーン!
これは、宮が夢のシーンが終わり、手紙のシーンになる時に舞台の裏で数分で帯を締め直さなければならなくて、裏方のるつとりえが二人ついても、真っ暗なのでうまくいかない・・・という事で私が大きな懐中電灯で照らす。
この後、ほとんどの出演者が裏方となり、襖をとりはずし、欄間も飛ばし、からの舞台で手紙を歌うという段取り。
裏から見ているとまさに一致団結していてなかなか感動的なのだ。
18場、手紙・宮の母役・・・というか、宮の母をやった岡原真弓で歌う・・・という感じかな?この手紙というのは、宮が貫一に書いた手紙ではあるが、元さんと萩さんで出演者全員に割り、歌い継いで行く。
元さんに「昔の人たちが今の人たちに語っているという風に歌ってくれ」と言われた。「愚かなる者はいつまでも愚かで・・・」
私は、宮の次に歌い、みんなが歌い継いで行くのをずっと舞台上で聞いている。
初日、物凄く泣けてきた。初演から17年、こういう形で再演できて、これだけのメンバーでこの舞台を作れた事を実感した。
そして、終演後の舞台挨拶で、萩京子が元さんと約束した金色夜叉の再演ができた事と、光さんを亡くしてしまったけれど彼の日本オペラの夢を我々がかなえて行かなければならないという決意を表明して、襟を正した。
光さん、見ていてくださいね。どの作品をやっても、光さんの意思は入ります。
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